書評葛原祥太『「けテぶれ」授業革命! 子どもが自立した学習者に変わる!』学陽書房、2023/3/6
遊びがなくなって、勉強や仕事というつまらないものになってしまったと著者は言う。時を忘れてなにかに夢中になって生きていることを実感する経験が大切で、そこには必ず遊びがあり、それが新しい学びや創造、発見を生み出すと言うのだ。本書は、AIの未来に必要な勉強とは異なる遊びという「冒険」の意義と方法について述べる。
著者は次のようにわれわれに忠告する。無理やり詰めこむ知識も、仕方なくやる仕事も、AIに負ける。自分の想いを抑え込んで社会に合わせないといけないような、こんな心の狭い社会をつくったのは、他でもない僕も含めた大人たちだ。変わるべきは私たち大人であって、子どもたちではない。「休み時間には遊んでよい」というきまりをつくってしまったことに端を発して、それ以来、遊びと学びは真っ二つにわかれてしまった。だが一方で、大人でも遊びと学びと働きが一体となったまま、おもいきり楽しんでいる人もいる。研究に熱中している科学者などだと言う。
評者も、「夢中になって遊んでいるようにしか見えない」研究者は確かに多いと感じる。それが「強いられて行う勉強」とは異なる、本書の言う「遊びと学びと働きが一体となった活動」の魅力なのだろう。評者は、小学校低学年であれば、現状でも、そのような場面はたくさんあると想像する。楽しいからやる「楽習」、小学校低学年や生涯学習だけでなく、すべての教育でこれを実現したい。
書評
孫泰蔵『冒険の書 AI時代のアンラーニング』日経BP、2023/2/16
著者は、「遊び」がなくなって、「勉強」や「仕事」というつまらないものになってしまったと言う。時を忘れてなにかに夢中になる時にこそ、生きている実感を感じる経験が大切で、そこには必ず「遊び」があり、その「遊び」は新しい学びや創造、発見を生み出すためにとても大事な活動だと言うのだ。本書は、混迷する世界において、AIの未来に必要な「勉強」とは異なる「遊び」という「冒険」の意義と方法について述べる。そして、次のように助言する。無理やり詰めこむ知識も、仕方なくやる仕事も、AIに負ける。才能や能力は迷信、AI時代にはまったく意味がなくなる。学びにも仕事にも「遊び」を取り戻すことが大切。イノベーションは論理的思考では生まれない。大事なのは、学んだ知識や成功体験を捨てること。自立とは、頼れる人を増やすこと。
著者は次のように警告する。自分の想いを抑え込んで社会に合わせないといけないような、こんな心の狭い社会をつくったのは、他でもない僕も含めた大人たちだ。変わるべきは私たち大人であって、子どもたちではない。休み時間には遊んでよい、というきまりをつくってしまったことに端を発して、それ以来、学ぶ(勉強する)ときは遊ばないし、遊ぶ時は、勉強から解放される。ということで、遊びと学びは真っ二つにわかれてしまったと言う。
しかし一方で、大人でも「遊び」と「学び」と「働き」が一体となったままおもいきり楽しんでいる人もいると言う。研究に熱中している科学者や、夢中で絵を描いている画家、思うがままに踊ったり演奏したりしているミュージシャンやダンサー、新しい料理を生み出している料理人、おもしろいことを思いついてしゃべりまくっている芸人などである。彼らは、結果的にはそれでお金をかせげたりもするが、本人にとってお金は目的ではない。ただ新しいものをつくり出す探究がおもしろくてしかたないだけだと言うのだ。
「夢中になって遊んでいるようにしか見えない」研究者は確かに多いと評者も感じる。それが強いられて行う「勉強」とは異なる「遊び」と「学び」と「働き」が一体となった活動の魅力なのだろう。「楽しいからやる楽習」、それが生涯学習だけでなく、学校教育でも可能なはずだ。評者は期待を込めてそう思う。
【広告より】
「私たちはなぜ勉強しなきゃいけないの?」
「好きなことだけしてちゃダメですか?」
「自分らしく生きるにはどうすればいいの?」
「世界を少しでも良くする方法は?」
数々の問いを胸に「冒険の書」を手にした「僕」は、時空を超えて偉人たちと出会う旅に出ます。
そこでわかった驚きの事実とは――
起業家・孫泰蔵が最先端AIにふれて抱いた80の問いから生まれる「そうか!なるほど」の連続。
読み終えたあと、いつしか迷いが晴れ、新しい自分と世界がはじまります。
「混迷する世界をつくった本当の課題とはなにか?」
「AIの未来に何をすればいいのか?どう生きるか? 」
「リスキリングってほんとうに必要なのか?」
誰もが迷う「問い」を胸のすく「発見」につなぐ本書は、どう生きるか悩むあなたに勇気と指針をくれるでしょう。
混迷する世界、AIの未来に必要な、新しい気づきが満載!
・無理やり詰めこむ知識も、仕方なくやる仕事も、AIに負ける
・才能や能力は迷信。AI時代にはまったく意味がなくなる
・学びにも仕事にも「遊び」を取り戻すことが大切
・イノベーションは論理的思考では生まれない
・大事なのは、学んだ知識や成功体験を捨てること
・自立とは、頼れる人を増やすこと
「世界は自分で変えられる」という言葉。実は、自分が変わることでもあるこの言葉こそが、教育の目的ではないのか。時代を超えて世界中の智慧者との対話を通し、自分ごととして問いを立て考え抜く「ぞっちゃん(孫泰蔵さん)」の思考の旅は、教育に悩みを持つだけでなく、生きることに迷いを持つ全ての皆さんに、衝撃と活力を必ず与えると思います。「当たり前」がただの「教育伝説」であることに気づくだけでなく、その殻を破ったときにどれほど自由な教育やこれからの社会が拓かれるのかと、ドキドキワクワクしてしまう本。学びと区別されない遊びの豊かさに、未来を生きる元気が湧き出してくる本です。こんな本に出会えて、ひたすら感謝!
――松田恵示(東京学芸大学理事・副学長)
ぼくたちが向き合うべき「問い」にこそ、真のイノベーションが必要である。AIにできることを「教育」なんて言っていると、こどもたちは「好きなこと」や「やりたいこと」からますます遠ざかってしまう。時は、風雲急を告げている。「アンラーニング」と呼ぶ「探究」と「遊び」の更新で、AI時代における人間のあり方を再編集するナビゲーションシステム。それが『冒険の書』だ。ここにあらわれている、先人たちとの対話の背後に、これまでにない「野生の思考」の萌芽が、ぼくには感じられてならない。
――桂英史(東京藝術大学大学院映像研究科教授)
■目次
はじめに
父からの手紙
第1章 解き放とう 学校ってなんだ?
第2章 秘密を解き明かそう なんで学校に行くんだっけ?
第3章 考えを口に出そう なぜ大人は勉強しろっていうの?
第4章 探究しよう 好きなことだけしてなぜいけないの?
第5章 学びほぐそう じゃあ、これからどうすればいいの?
おわりに 新しい冒険へ
旅の仲間たちへの謝辞
世界に散らばる冒険の書たち
本書の問い
参考文献
若者文化研究所は若者の文化・キャリア・支援を専門とする研究所です。